無虹彩で弱視の娘のこと

先天性無虹彩症の娘の備忘録的成長記

無虹彩症と雪

5年前、私たちは横浜から地元の北海道へ戻ることになった。

北海道に戻れるとわかったときの一番の心配。

 

まぶしがりに雪国ってサイアクやん!

 

とういこと。

 

 

私が人生の大半を過ごした旭川は比較的豪雪で、建物の密集度合いもさほど・・な地域なので、冬は本当に一面銀世界だった。

聞こえはいい、うん、聞こえはいい。

ただ、晴眼の私ですら旭川の冬の晴天は目が開けられなかった。

銀世界という名の光の暴力。

それを思い出すとちぃと北海道の冬を過ごすことが不安でしょうがなかった。

 

 

でも札幌の冬を何度か経験した結果、思ったほどではなかった。

十分まぶしいけど。

札幌は豪雪ではないから真冬でも路面が出ていることもある。

建物も高いしそこそこ密集しているから、一面見渡しても雪以外の色がある。

そのため札幌は光の反射にえげつなさを感じない。

旭川よりは目に優しい街だ。

 

 

さて、ちぃはと言うと、引っ越した年の冬に東海光学のビューナル(オーバーグラス)を買った。

いつもの色(FL)ではまぶしかったようなので、翌年濃い色(BR)を買い足した。

それでも限界はある。

日によるけど、オーバーグラスをしてもどうにもまぶしいこともあった。

雪まつりつどーむ会場)のような一面銀世界はやっぱり厳しい。

 

 

ここ数年のちぃを見ていて気付いたこと。

雪道は見えない。

コントラストがわかりにくいから雪面の凸凹は見えない。

結果、雪の段差での転倒リスクが増し、道じゃないところを歩いてしまい靴に雪が入るし歩くのに時間がかかる。

歩道に除雪が入っていない場合、前に歩いた人の足跡をたどって歩かないとズボズボと雪に足を取られるし靴より雪が深けりゃ足が濡れる。

ちぃはフロンティアスピリッツにあふれているわけでもないのに、いつも雪道を開拓している頑張り屋(?)だ。

そのせいで、学校に遅刻したときもあった。

晴眼の子が前に歩いた人の足跡をたどって歩いている中、ちぃは雪道を開拓し続けたために登校時間がいつもより数分遅れたと推測。

遮光眼鏡じゃコントラストの変化はわからないか。

 

 

 

さらに札幌の恐ろしいところはスキー授業という魔物。

凸凹が見えない人に坂道を滑走しろと?

急斜面か緩斜面かわからない人に、迷わず行け!と?

もう罰ゲームのレベルじゃないっすか。

 

 

 

でもひとみの教室の先生に聞いても、弱視通級に通っている人でスキー授業不参加はいないらしい。

まぁ、疾患や見え方はそれぞれだけど、不参加の選択肢が頭をよぎった私は驚いた。

しかもスキーってウェアやら一式揃えると安くても4~5万円はする。

スキーを教える親の一式も買うと10万円。

 

 

 

あのー・・・誰も「うちはお金ないんでスキー授業は受けられません」とか言わないの?

転勤族なんてヘタしたら授業のためだけに10万出すことになる。

しかも子どもの成長は嬉しいが、一式の買い替えが数年ごとにやってくる。

昔ほど一般的ではなくなったスポーツに高額投資する意味がわからん。

(スキー苦手です。ええ。)

コロナで困窮している家庭も増えてるんだから、いいかげんスキー授業やめてみないか。(年収低下した一家の魂の叫び)

レンタル可能で初期費用も安いスケートでいいんじゃないか?

 

 

と、教育委員会への不満はさておき。

 

 

 

怖がりで失敗が嫌いなちぃが転ばずに滑れるわけもないが、スキーを楽しむことはできるのか。

ひとみの教室の先生には授業でゲレンデデビューする前にスキーの個人レッスンを受けた方がいいと言われた。

もちろん強制ではないが、弱視のちぃが初見で上手に滑れるわけもなくレッスンは必須だろう。

虹彩+雪=出費が半端ない(目にも財布にも優しくない)

ということだけはわかった。